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今年の注目株! ~Technotime SA~ [時計よもやま]

時計雑誌のバーゼルワールド/SIHH特集が出揃ったが、
今年はあるムーブメント・サプライヤの名をよく見かけた。

スイス、ラ・ショー・ド・フォンに本社を置く「Technotime SA」社 
(テクノタイム SA)である。

60年代に「France Ebauches,FE」として設立した同社は、
2001年に現在の経営形態となり「Technotime SA」として
ハイエンドのクォーツ・ムーブの生産を始めた。
2003年にツインバレルを持つ自動巻き3針ムーブ、および
コラム・ホイール機構を持つ本格的クロノグラフ・ムーブを発表
して、メカニカル・ムーブメントのサプライヤとしてのキャリアを
再びスタートさせた。

そして2005年に9時位置にトゥールビヨン・ケージを配置した
トゥールビヨン・ムーブメント ”TT791”を発表している。

2006年春の時点では、このトゥールビヨン・ムーブを採用した
時計メーカーは、日本ではあまり名前を聞かない3社、そして
ウチのみであったが、今年はアラン・シルベスタイン、
ポール・ピコ、クエルボ・イ・ソブリノス等々のメーカーがこぞって
そのフラッグシップ・モデルに採用している。

これは、やはり「STT(現ディミエ1738)」が昨年ボヴェに買収
されたことにより、同社のトゥールビヨン・ムーブの外販に影響が
出ているものと推測するが、同時にそれはテクノタイム社に
対する強い追い風と考えることもできる。

余談ではあるが、以前STT社にトゥールビヨン・ムーブ供給を
何度も申し入れたことがある。
さんざん無視されたあげく、「当社は、スイスの伝統ある時計
メーカーとしかビジネスしない。それに現在2年分のバックオー
ダーを抱えている」とあえなく玉砕した苦い思い出があるが、
結果的には吉であったと思っている。

なおテクノタイム社は、ムーブ製造のアキレス腱ともいえる
「ヒゲゼンマイ」の自社生産を既に開始しているし、「ショック・
プルーフ(耐震装置)」まで内作している。
現在のスイスの時計産業の状況を見ると、同社は今後の台風の
目となる可能性を十分に秘めていると思っている。

昨年バーゼルワールドで同社CEOのPHILIPPE MARTI氏と打合せを
した際に「今の時計業界の状況を考えると、貴社の今後がますます
楽しみですね」と話しかけた時の、氏の自信に満ちた笑顔が印象的
であった。

ETA問題に起因する時計メーカーのマニュファクチュール化や、
ムーブメントサプライヤの囲い込みが昨年から活発になっているが
数少ない独立系サプライヤである同社の動向は、是非注目すべき
と考えている。
願わくば、資本金が10億円に満たない企業規模である同社が
マネーゲームの餌食にならないことを切に祈らずにはおれない。

話は戻るが、アラン・シルベスタインの新作トゥールビヨンの価格を
見て、かなり驚いた。
時計の値段ってどうやって決定されるのだろう。。。と改めて思わ
ざるを得ない。

自分のささやかな良心が、誰かに評価してもらえる日が来れば
いいのだけれど。


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