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元通りに組み直す人? それとも放置する人?  ~ダライ・ラマ自伝~ [時計よもやま]

意外な人に意外な一面があることを知ると
嬉しくなる。

それが自分にも興味があることであれば、
なおさら。。。

2001年春、主を待つポタラ宮

意外な人というのは、ダライ・ラマ法王十四世猊下。

ダライ・ラマ法王が、機械いじりをお好きだということ
は、何かで聞いて知っていたのだが、ダライ・ラマ自伝
という本を読んでいて、時計の修繕について、愛情を
込めて書いておられる部分があり、無性に嬉しくなった。

どんな内容かというと。。。
まだ法王がラサにおられた頃(中国がチベットを「文明化」
する前である!)、ラサのマーケットでロレックスとオメガの
腕時計を入手される。

「最初にやったのはもちろん、ばらばらに分解すること
だった。ばらした後、細かな部分を眺め、はたと当惑し、
いささか性急すぎたと後悔した。
だがそれでへこたれるわたしではない。
ちゃんと元どおりに組み直し、遅速の調整もすぐ覚えて
しまったのである。」

時計をばらして困惑するところまでは、ボクと全く同じ!

その後元通りに組み直されたのがダライ・ラマ法王。
30年以上放置し、時計師さんの手を煩わせたのがボク、
なのである。。。

他に短い文章ではあるが、「ルーズベルト大統領から
贈られたパテック・フィリップの金時計…」などという記載
もあり、興味のある方は、是非ご一読をお勧めしたい。

記者会見の時などに、時折お見せになるチャーミングな
横顔に、ユーモアあふれる文章から触れることができる。

あるいはご多忙かつご苦労の絶えない生活の中、お一人
きりになられて精密ドライバーやピンセットを手に、ほんの
束の間のご自身だけの世界に没頭される猊下のお姿を
想像するのもまた一興。


ダライ・ラマ自伝








一方で、
400ページを超えるこの本で、読み進めていて自然と微笑
が浮かんでくるのは、上記のくだりとポタラ宮やノルブリンカ
(夏の離宮)で過ごすことができた幼少期の回想部ぐらいで
あろう。

その後法王の人生は、(その国家・国民とともに)大きな嵐に
巻き込まれ、強大な力に翻弄されることになる。

特に「チベット蜂起」に至る記述には緊迫感にあふれ、ページ
をめくるごとに胸が締め付けられる。

そしてインドへの亡命を余儀なくされる。
多くの国民を残し、愛する地を離れなければならない苦痛とは
いかほどのものか?

明日で、あれから50年が経つ。
ポタラ宮の小部屋は、緩急針を調整しながら悦に入る「主」の
一刻も早いご帰還を待っているに違いない。


【追記】
フリーライターの長田幸康さんのHPで、漫画版『ダライ・ラマ
14世自伝』のダイジェストが紹介されています。












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