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少しは昔のことも想像してみた ~明治改暦-「時」の文明開化 ほか~ [時計よもやま]

からくり儀右衛門の「万年時計」を筆頭に、和時計には
ずっと興味をもっているのですが、その和時計を一瞬の
うちに過去の遺物としてしまったワルい奴である「新時
刻法」(不定時法から定時法への変更)を、当時の人々
は、どんな風に受け止めたのだろうと以前から気になっ
ていました。

 
万年時計.jpg
<㈱東芝HPより>

(なお万年時計については上の画像の向かって右にあ
 る通り、定時法の文字板もキチンと採用されています。
 他の和時計と同列に扱っている訳ではありません)

。。。そんな訳で、最寄の図書館でずっと気になって
いた明治改暦―「時」の文明開化という本を年末年始
の時間を利用して読んでみました。

残念ながら、この本では新時刻法に関してはそれ以前
の時刻法との違いや和時計の説明なども含めて8ペー
ジほどでさらっと触れられているだけで、あまり参考に
なる記述はありませんでした。
(別の何かの書籍で、明治初頭に日本に技術指導に
 来た欧米人が、当時の日本人の時間のルーズさに
 あきれかえる記述を読んだ記憶があります。日本人
 の時間に対する概念が、新時刻法をきっかけに変貌
 したのは間違いないでしょう。))

一方でこの本の主題である、旧暦から新暦(太陽暦)
にカレンダーを変更する「改暦:暦(こよみ)の改定」に
至るまでの江戸末期からの様々な論争や胎動、更に
改暦後の人々の混乱や不満の様子については面白く
読めました。

明治の改暦(1873年)は、明治5年11月9日(旧暦)に
発布され、翌12月3日を明治6年1月1日(新暦)にいき
なり変更するという、かなり無茶苦茶なことを行なった
訳ですが、そのあたりの真相(※)についても、いくつ
かの文献によりつまびらかにされています。

 ※改暦を断行した理由は、明治政府の財政不足が
  直接の理由であること。
  旧暦での翌明治6年は閏月が入るため13ヶ月に
  なるが、当時の財政状態が余分の1ヶ月分の支出
  を許す状況になかった。
  また明治5年12月は2日間のみになるため、同月
  の給料支給もカットできた。

しかしかなり読みにくい本ではありました、実際。
具体的にどういうものなのかという詳しい説明がない
ままに、「太陽暦(ユリウス暦、グレゴリオ暦)」、「太陰
太陽暦」などの用語が氾濫して(本の内容からすれば
当然ではありますが)予備知識のない人間を悩ませ、
文中に豊富に引用される当時の文献の数々が、先の
ページに読み進もうともがく無学者の前に立ちはだかる
訳ですから!
(本当はかなり読み飛ばした、と告白しておきます)

暦(こよみ)の知識については、同時に借りておいた
文科系のための暦(こよみ)読本という本が、だいぶ
理解の助けになりました。

まあ、たまにはこんな苦労もしながら頭を酷使するのも
悪いことではないでしょう。

しかし政府がひっくり返り、ほとんどすべての価値観や
尺度が変わってしまうというのは、ちょっと想像を絶する
ダイナミックな話です。


上記の2冊に前後して、それでも、日本人は「戦争」
を選んだ
という本も読んでみました。

近代史を系統立てて考える機会はほとんどないの
で、こちらもとても興味深く読みました。そもそもボク
自身が、それほど歴史に興味がある人間ではない
こともありますが、初めて知る内容が多かったと思い
ます。

例えば松岡洋右という外交官は、学校の授業では
日本が国際連盟を脱退するに際して国連総会の
議場から退場した、ということだけを教えられたよう
に記憶していますが、実際は脱退を阻止すべく政府
に強く働きかけていたというところなどは、「学校での
歴史の授業って。。。」などと、いろいろと考えさせら
れる部分でした。

歴史の読み方、楽しみ方というものを知りたい人には
参考になるかと思います。

ただ改善をお願いしたいのは、ボクのような歴史に
疎い読者のために、巻末にでも日本、東アジア
(朝鮮半島、中国とその周辺国)、そして欧米の
年表をつけておいてもらいたかったことです。

余談ながら、この本は栄光学園という私立学校の
歴史研究部所属の中高生を対象に行なった課外
授業を採録したものらしいのですが、「(英王の)
リチャード三世」と問われて「シェークスピア!」と
生徒が即答するなど、かなり高レベルのやりとりが
行なわれております。
(栄光学園って始めて知りました。関西でいう灘高
 みたいなもんやろか?)





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