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こんな日本人がいたとは! ~ルワンダ中央銀行総裁日記 増補版~ [つれづれ]

少し前にエコノミスト系統の人達のブログで評判になって
いたのですが、評判通りにむちゃくちゃ面白い本でした。

ここ数年に読んだもののウチで、ベストと言っても良いと
思えるほど!

ルワンダ中央銀行総裁日記 (中公新書)








日銀マンである著者が、1962年にベルギーからの独立
を果たしたばかりのアフリカの小国ルワンダに赴き、同国
の中央銀行総裁として悪戦苦闘の日々を送った1965年
から1971年までの6年間の記録。

着任早々、著者は現実に打ちのめされます。
中央銀行とは名ばかりの素人集団、非効率な会議。
おまけに国家財政は破綻寸前、中央銀行の金庫にある
べき銀行券(つまりはお金)のストックがない!etc

そんな絶望的ともいえる状況を、はたして著者は立て直す
ことができるのか否か?
物語の結末を知りたくて、ついついページを繰る手も早まっ
ていきます。

赴任してしばらくしたある晩の、大統領との差しでの5時間
に及ぶ面談、更にその場で大統領から経済再建計画立案
の依頼を受ける場面は、この本のハイライトの一つ。
あまりにかっこ良すぎる描写に、つい「ホンマかいな!」と
突っ込みを入れてしまいたくなる程です。

結果として、懸案だった通貨改革は混乱なく実施され、著者
の提言した経済再建計画は成功。ルワンダの経済は息を
吹き返し、財政は急回復していきます。

その成功のカギとして著者が強調するのは、植民地時代
から居留者も含めた在留外国人たちが口々に発する「アフリ
カ人は、~だから」という言葉に耳を貸さなかったこと。
現地の人々との徹底した対話を通じて、ルワンダの人たち
の勤勉さや潜在力を確信し、「ルワンダが本当に必要として
いるものは何か」ということを考え抜いたこと。 

これらは40年以上前の出来事ではありますが、いまだに
途上国開発や援助がうまく機能していない現状に対して
示唆するところは大きいように思います。

閑話休題。経済再建だけではなく、日に日に枯渇していく
外貨を何とかやり繰りし、危機を乗り越えていく様子もスリ
リングでありました。
話の規模のレベルが違いますが、以前勤務した工場の
経理責任者だった同僚が、日々外貨のやり繰りに頭を
抱えていたことを懐かしく思い出しました。
財政学を学んだ人であれば、もっともっと楽しめる本だと
思います。



ところで、
ルワンダといえば、映画「ホテル・ルワンダ」で有名になった
「ルワンダ紛争」(フツによるツチのジェノサイド)を思い起こす
人も多いかも知れません。

今回、同書は増補版ということで1994年に著者が発表した
「ルワンダ動乱は正しく伝えられているか」という一文も加え
られています。
当件の背景には、双方の主張があり安易に白黒をつけること
は避けるべきだと思いますが、植民地支配の時代から引きず
ってきた民族間の歪みや大国の暗躍が大きな影響を及ぼした
ことは間違いなく、希望に満ちていたはずのこの国で起こった
不幸を想うとやり切れなくなります。





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