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ここから始まった。。。 ~セイコー ・"クロノメーター"~ [My Watch Box]

なぜこの時計が家にあったのか、母親に聞いても
もはやはっきりしないのだが、物心がついた時から
コイツはボクのお気に入りだった。


IMG_1602s.jpg


リュウズを巻くと、秒針がゆっくりと動き出す。
その様子を見るのが好きだった。

耳を近づけると、チクタク… と時を刻む。
その音をずっと聴いているのが好きだった。

見るだけでは飽き足らなくなってきた頃、
思い切って裏ブタを開けてみた。

せわしなく、淡々と動きを繰り返す小さな部品。
それらを、ただずっと眺めていた。


IMG_1608s.jpg


婦人用の精工舎(セイコー)・クロノメーター。
さる人によると戦後間もない1950年頃に作られ
たものらしい。

クロノメーターといっても、残念ながら天文台や
当時のクロノメーター公認検定局の認定を受けた
ものではなく、メーカーの独自の判断によりその
銘が付与されたものと思われる。
(このあたりついては、あまり情報がないため、
 詳しい方がおられたら、是非ご教授下さい)

今となっては、「なんと大らかな時代」と微笑を
誘われる話ではある。

しかし細部をじっくり見てみると、当時の時計師達
の本気度がジワジワと伝わってくる。

出来る限り大径に作られたチラネジ付きテンプ
やシャトン付きの大ぶりの穴石。
受けもキチンと面取りがなされており、作りの
良さ、仕上げの丁寧さが随所に感じられる。

外装も、ケースやリュウズには劣化が見られるが、
文字板はアプライドのインデックスが奢られ、
ロゴの印字もエッジが鮮明で申し分ない。
針のハカマの面取りは丁寧に処理されており、
分針の先端は少し下向きに曲げられている。

戦後間もない物不足の時代であっても、細部に
いたるまで手を抜かず、出来うる範囲で最高の
時計を作ろうとした時計師達の思いが、この銘を
付けさせたと考えるのは、少しばかり飛躍のしすぎ
だろうか?


。。。実はその昔に、裏ブタの中をただ眺めるだけ
では物足りなくなって、小刻みに動いている部分を
棒かドライバーで突っついてしまった。
とたんに時計は悲鳴を上げ、2度と動くことはなか
った。

それからおよそ30年後、いつもお世話になっている
時計師さんに時計を修理していただいた。
アンクルがえらく曲がっていた、とのことだった。

ビブロメーター(歩度測定器)にかけたら、日差10秒
以内。公認かどうかなんて、どうでもよい。。。

いずれにせよ、ボクの時計への憧れは、この時計
から始まった。




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